【睡眠負債と適切な睡眠時間④】睡眠時間の確保・対処法
本コラムは全5回に渡り「睡眠負債と適切な睡眠時間」についてお話しております。
先の投稿をお読みでない場合はぜひ順を追ってお読みください。
4. 睡眠時間の確保・対処法
健康面や学業・仕事のパフォーマンスためには睡眠時間の確保が必要であることがわかりました。でも、睡眠のための時間はなかなか捻出できませんよね。睡眠時間の確保や睡眠の質を高める対処策にはどんな方法があるのでしょうか。
ブルーライトの影響
就寝前にスマートフォンを覗いてしまうと寝つきが悪くなり、睡眠時間が短くなることが報告されています。この原因としてブルーライトの影響とメディアコンテンツの影響が挙げられています。
規則正しい睡眠リズムの指導として「朝日を浴びましょう」とよく指導しますが、これは日光が網膜を通じて脳へ伝わることで体内時計がリセットされるためです。日光には様々な波長(=色)が含まれていて、特に短波長(=青系統)の光は体内リズムへの大きいことがわかっています。スマートフォンが発する光にもこの短波長の波形が多く含まれており「ブルーライト」と呼ばれています。ブルーライトを就寝前に多く浴びてしまうとメラトニンの分泌が低下し、日内リズムが崩れる危険が指摘されています。
メディアコンテンツの影響
NHKの国民生活時間調査(2020年)によると、スマートフォンを用いた動画コンテンツの平均視聴時間は2時間もあります。こういったメディアコンテンツは視聴時間を増やしてもらうために長時間見てもらえるような興味関心の高いコンテンツを視聴者に合せて提供してくれます。見ていて楽しい(精神的な興奮のある)コンテンツを見続けて、ついつい眠る時間が遅くなってしまわないように、スマートフォンの充電場所は寝室外にしておくことが望ましいでしょう。
入浴
寝つきを早くすることでも睡眠時間は増えます。ベッドに横になって15分以内に眠れると睡眠時間も自ずから増えていきます。詳細は別の機会にお話をしますが寝付く90分前までにいかに体を温めておくかが快眠のコツの一つです。本来なら、朝日をしっかり浴びたり、昼間に有酸素運動を行ったりして、日内リズムを整えてあげれば体は自然と眠る前に体温を高めてくれますが、うまく休めない日もあるでしょう。そんな日の夜はしっかり湯船に浸かって体を温めましょう。
就寝の1~2時間前に、40℃程度の温かいお風呂に浸かることは、体温を高め、快眠を促進するために非常に有効です。浴槽に浸かれない場合は、首の後ろに41〜42℃のシャワーを当てることで、体温を効果的に上げることができます。首には、頭と体をつなぐ太い血管が集まっており、温めると効率的に体温を上昇させることができます。
次回:確保してほしい睡眠時間とは
当院は日本睡眠学会専門医療機関として睡眠検査・評価を実施するための環境を整え日々多くの患者様の睡眠改善に取り組んでおります。睡眠に関するお悩みがございましたらお気軽にご相談ください。