【睡眠負債と適切な睡眠時間⑤】確保してほしい睡眠時間とは
本コラムは全5回に渡り「睡眠負債と適切な睡眠時間」についてお話しております。
先の投稿をお読みでない場合はぜひ順を追ってお読みください。
5.確保してほしい睡眠時間とは
6時間睡眠は及第点
先に触れた通り、睡眠時間として6時間を下回る睡眠で何年も過ごしてしまうと、心筋梗塞や脳梗塞をはじめ様々な疾患にかかりやすくなります。6時間以上の睡眠を目標にしましょう。
いつもこの話をすると「本当に睡眠は6時間で充分なの?」「仕事が忙しく、5時間しか眠れません。もうだめですね」といったご意見をいただきます。もちろん世の中の全員が6時間で充分だとは考えていません。本来ならもっと長く休む方が体にとっても、良い影響が多いでしょう。でも、令和時代を生きている皆さまにとって、仕事・学業・家事・育児に追われる生活、とっても大変ですよね。それらを終えてやっと得た数少ない余暇の時間をすべて眠りに充てなさいというのも、毎日同じ質問をいただく我々としてもとても心苦しいのです。
たまにぐっすり眠れて120点の睡眠が得られると快適ですよね。私もそんな日は診療も、それ以外の仕事も、帰宅後の運動もできて、毎日こんな睡眠がいいと思ってしまいます。でもそんな日は滅多にありません。仕事で大きなミスをせず、週何度か運動ができる”及第点”を得るための睡眠時間として6時間を目標に眠るようにしてみましょう。
午後の集中力UPに昼寝がおすすめ
おそらく多くの方にとって6時間の睡眠では、昼下がりに眠気が出現します。これは睡眠時間が足りないということに加えて、昼の13-15時頃は眠くなり易い体内リズムであることが関係しています。この時間帯に眠くなるのは、あなたの体内時計がうまく働いてくれている証拠でもあるのです。昼下がりに数時間も注意散漫になって過ごすより、15-30分ほど昼寝をしてしまう方が午後の集中力にとってはいい効果が現れます。何時間も眠ってしまうと体内リズムが混乱してしまいますので30分以内の昼寝がおすすめです。夜の睡眠と、昼寝をうまく使い分けて体の悪影響へも、頭の集中力へも配慮した”いいとこどり”の睡眠を試してみましょう。
最後に
ここまで、睡眠時間と集中力、睡眠負債による悪影響、必要な睡眠時間と対策についてお話してきました。実践してもらうことでうまく眠れるようになってくだされば幸いですが、5-6時間も休んでいられない方、何をやっても眠気が取れない方もいらっしゃると思います。その原因には、自分ではどうしようもできない病気が潜んでいる可能性があります。
睡眠・生活習慣について相談できる医療機関で診察を受けてみることが解決の糸口になるかもしれません。
今後も睡眠や院内の様子が伝わるような情報発信を心掛けていきたいと思いますのでよろしくお願いします。下浦
当院は日本睡眠学会専門医療機関として睡眠検査・評価を実施するための環境を整え日々多くの患者様の睡眠改善に取り組んでおります。睡眠に関するお悩みがございましたらお気軽にご相談ください。