【睡眠負債と適切な睡眠時間 ①】睡眠負債について

はじめに

皆さま、はじめまして。医療法人RESMの医師の下浦と申します。
この度、当院で行っている診療内容や、患者様から頂く質問内容についてブログ形式で発信をしていきたいと考えています。少しでも、皆さまのお役に立てれば嬉しく思います。

初回となる今回のテーマは「睡眠負債と適切な睡眠時間」です。忙しい日々を過ごしていると、睡眠時間をもったいなく感じてしまう方も多いでしょう。どうして眠らないといけないのでしょう。その答えの一つに「睡眠負債」が関係しています。睡眠時間を削ることは短期間・長期間いずれの場合も体へ甚大な被害をもたらします。
本コラムでは全5回に渡り、日本人の睡眠事情を見つめ直し、睡眠不足が体に与える影響や、対策について考えていきます。

1.睡眠負債について

睡眠は、私たちの体と心の健康を維持するために欠かせない要素です。日々の忙しさに追われ、睡眠不足になると「眠気」を感じますがそのまま活動できてしまうので、ついつい睡眠時間を削ってしまうことがあるかもしれません。

上の図は断眠を続けた場合の眠気や集中力を示した図です。左図では、睡眠時間が短い状態で何日も過ごしていても日中の眠気を示すアンケートは「6時間睡眠でも、4時間睡眠でも見分けがつかない」ことを示しています。一方で、右図では、数分間の集中力テスト(画面に現れた変化を見逃さずにいられるか)のミスの回数を示しています。先ほど違いのなかった6時間と4時間で結果に違いがありました。つまり、寝不足には数日で慣れてしまいますが、集中力には大きな違いが出てしまうことを示しています。
あなたの仕事中のうっかりミスや、運転中のヒヤッとした経験は睡眠不足のせいではありませんか?
この不足分をすぐに返済(=たっぷり眠ること)できずにいると、全身、特に血管や脳へ大きな負担がかかるようになるため注意が必要です。

次回:日本人の睡眠不足の原因

当院は日本睡眠学会専門医療機関として、睡眠検査・評価を実施するための環境を整え、日々多くの患者様の睡眠改善に取り組んでおります。睡眠に関するお悩みがございましたらお気軽にご相談ください。