【3月18日は睡眠の日】特別対談:春のゆらぎに負けない「眠り」の新習慣
出演:理事長 白濱 龍太郎 × 新東京院 副院長 下浦 雄大

1. なぜ3月は「眠り」が乱れやすいのか?
白濱: 3月18日は「睡眠の日」ですね。この時期、外来では「しっかり寝ているはずなのに体がだるい」「日中に強い眠気を感じる」という相談が増える印象がありますが、下浦先生、現場の実感としてはいかがですか?
下浦:まさにその通りですね。新生活の準備や仕事の年度末で忙しくされている方が多く、緊張状態が続いている方が目立ちます。春は寒暖差も激しく、自律神経が乱れやすい季節でもあります。
白濱:そうですね。気温の変化に体が対応しようとエネルギーを消費し、交感神経が優位になりすぎる。それが夜の「リラックスモード(副交感神経)」への切り替えを邪魔してしまうんですよね。さらに、花粉症の時期には抗ヒスタミン薬を服用している方も多く、その副作用によって眠気を感じやすくなることもあります。なんとなく服用しているお薬にも注意が必要ですね。
2. 睡眠医療の大きな転換点 ―― 「睡眠障害科」の新設と専門性
下浦:睡眠を巡る環境も大きく変わろうとしていますね。先日、厚生労働省の専門部会で、新たな診療科として「睡眠障害科」を設けることが了承されました。

白濱:画期的な出来事ですね。睡眠の問題が単なる「疲れ」ではなく、独立した専門領域として公に認められた証でもあります。私たちはこれまでも専門的な診療を行ってきましたが、こうした公的な動きによって、悩んでいる方がより適切な窓口を見つけやすくなることを期待しています。これまでは「睡眠学会専門医」という表現について医療広告のルールとの関係で慎重な対応が必要でしたが、今後はより適切な形で啓発活動が進めやすくなると感じています。
3. CPAP治療の基準改訂と「質の高い管理」への取り組み
下浦:令和8年度の診療報酬改定でも、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療について重要な変更がありました。在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)の導入基準となるAHI(無呼吸低呼吸指数)が、これまでの「20以上」から「15以上」へと見直されるなど、より実態に即した内容になっています。
白濱:基準の変化はありますが、大切なのは「適切に治療を継続すること」です。一方で、診断範囲が拡大したことは患者さんの便益という点でも大きな意味があります。特に「簡易検査」は多くのクリニックで実施されている検査方式ですので、今回の改定をきっかけに、より早期に治療を受けられる患者さんが増える可能性があります。睡眠医療に携わる立場としては、とても前向きな変化だと感じています。

下浦:はい。そうですよね。「CPAPを渡して終わり」ではなく、いかに患者様に寄り添い、治療の継続をサポートしていくかが重要だと思います。基準の変化はありますが、大切なのは「適切に治療を継続すること」です。今回の改定では、1日平均1時間以上の使用が算定条件として明確化されるなど、治療の「質」がより厳しく問われるようになります。だからこそ、私たちRESMが行動指針としている「一人ひとりに寄り添う」医療が、これまで以上に重要になってくるのではないでしょうか。
4. 「春の眠気」に隠れたサインを見逃さない
白濱:基準がどうあれ、睡眠の悩みがあることに変わりはありません。「春だから眠いだけ、だるいだけだろう」と自己判断せず、いびき、夜間の目覚め、起床時の頭痛などがないかチェックすることが大切です。
下浦:まずは「最近よく眠れない」「なんとなくだるい」という何気ないことからでも、お気軽にご相談いただきたいですね。白濱先生が日頃お話しされていたように、眠気を自覚していなくても睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがありますし、そうした状態でも運転事故のリスクに関係することも知られています。ちょうど春の交通安全運動の時期でもありますので、こうした点についても社会全体に広まっていくといいですね。
※春の交通安全運動:4月6日(月)から4月15日(水)までの10日間

5. 今日から実践できる「春の快眠セルフケア」
白濱:最後に、皆さんが今日から実践できるコツを一つずつ挙げましょうか。
下浦:私は「朝から体内時計を整える」ことをお勧めしています。朝にしっかり光を浴びること、そして朝食をとることは体内時計を整えるうえで重要ですので、そのリズムに合わせた起床・就寝を意識していただきたいですね。
また、ご自身のクロノタイプ(朝型・夜型)を知ることも大切です。国立精神・神経医療研究センターのホームページなどでは簡単に評価することができますので、その結果を参考に生活リズムを見直してみるのもよいと思います。
ミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)日本語版
白濱:とても良いと思います。私はそれに加えて「首元を温めること」を推奨します。春の夜風は意外と冷えます。首元を温めて血流を良くすることで、深い眠りに入りやすくなります。
結び:健やかな春を、良質な睡眠から
下浦:私たち医療法人RESM(リズム)は、専門的な知見と新しい制度への迅速な対応を持って、皆さんの「眠りの質」をサポートしていきます。
白濱:睡眠はすべての健康の基盤です。この「睡眠の日」をきっかけに、ご自身の眠りと、そして進化する睡眠医療を知っていただければ幸いです。

