【睡眠時無呼吸症候群について②】SASの診断方法
SASの診断方法
本コラムは、全3回に渡って『睡眠時無呼吸症候群とは』についてお話ししております。
先の投稿をお読みでない場合は、ぜひ順を追ってお読みください。

簡易検査
SASかな?と心配になって受診された患者さんへ初めに行っていただく検査は「簡易検査」です。簡易検査には「パルスオキシメトリー検査」と「在宅睡眠時無呼吸検査(Home Sleep Apnea Test:HSAT)」の2種類があります。どちらも自宅で簡単に行える検査です。
パルスオキシメトリー検査では、指先に機器を装着し血中酸素飽和度(Saturation of percutaneous Oxygen:SpO2)と脈拍数の推移を確認します。睡眠中に呼吸が止まると、SpO2は低下し、苦しさから交感神経が活発になり脈拍数も上昇します。SpO2が 3%以上低下した箇所は無呼吸があったと推測されます。計測1時間当たりに酸素飽和度が3%以上低下した箇所(3% Oxygen Desaturation Index:3%ODI)の値は、 SASの重症度判断の一つの手がかりになります。

HSATでは、パルスオキシメトリー検査で使用する機器に加えて、鼻先にセンサーをとりつけることでSpO2、心拍数、いびき、 気流波形の計測が可能になります。これにより 10 秒以上の呼吸気流の変化(低下・停止)とそれに伴うSpO2の低下の一連のイベント(低 呼吸・無呼吸)の発生数が算出できます。計測1時間当たりの呼吸イベント数(Respiratory Event Index:REI)はSASの重症度 を判断する材料の一つになります。 REIは「息が止まって、酸素の数値が悪化する」と総合的に判断され、数値によってはこの検査のみで持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)を開始する場合もあります。 問題点として簡易検査では正確な睡眠時間の把握はできず、ポリグラフ検査(Polysomnography:PSG)による精密検査が検討されます。

PSG検査
終夜ポリグラフ検査(PSG)は睡眠時無呼吸症候群の確定診断に用いられます。PSG検査は通常、病院に入院し検査を行います。入院期間は1泊のみで、夜間の就寝時に検査器具を装着します。脳波を含め 合計7項目以上(脳波、眼電図、 顎〈おとがい〉筋筋電図、心電図、 脈拍、気流、呼吸努力、酸素飽和 度など)の項目の計測を同時に行うことで、総睡眠時間、中途覚醒の時間、中途覚醒直前にどんなイベント(呼吸停止、いびき、SpO2低下、四肢の異常運動など)があったのかを記録・評価します。 睡眠時間と覚醒時間に分けることで、睡眠1時間あたり無呼吸・低呼吸イベント(Apnea-hypopnea index:AHI)の計測が可能になり、SAS以外の様々な睡眠関連疾患の診断にもつながる検査です。
PSGの所見の評価は、日本睡眠学会の総合専門医および認定技師の認定要件の一つです。検査の様子やタイムスケジュールがわかるように今後別の記事を設けてお話をしたいと考えています。
次回:SASの治療方法
当院は日本睡眠学会専門医療機関として、睡眠検査・評価を実施するための環境を整え日々多くの患者様の睡眠改善に取り組んでおります。睡眠に関するお悩みがございましたらお気軽にご相談ください。