睡眠の誤解5選|睡眠時間・昼の眠気・寝だめを専門医が解説
「6時間眠れていれば十分」「休日に寝だめすれば大丈夫」。毎日の睡眠にも、よく知られた説明と医学的な考え方が少し違うことがあります。動画で取り上げた5つの誤解を、睡眠専門医の視点から解説し、日々の工夫と相談の目安を紹介します。

①「6時間眠れば十分」?時間と休養感を一緒に見る
忙しい平日に6時間眠れていると、「これで足りている」と考えがちです。ただ、必要な睡眠時間は年齢や体質などで変わります。
厚生労働省の睡眠ガイド2023は、成人に6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保するよう勧めています。これは全員が6時間で十分という意味ではありません。
米国の専門学会の合意では、18〜60歳の成人に日常的な7時間以上の睡眠を勧めています。どちらも、自分に必要な睡眠を確保するための目安です。
ここでの時間の目安は成人向けで、子どもや思春期には年齢に応じてより長い睡眠が必要です。
時間だけでなく、休まった感覚と日中の眠気も一緒に確かめましょう。疲れや眠気が続くなら、まず眠る時間を少し長く確保して変化を見てみましょう。眠る機会を確保しても不調が続く場合は、相談の手掛かりになります。
②「昼の眠気は病気」?程度と困る場面が大切
昼過ぎに少し眠くなることには、体内時計のリズムも関わっています。食後の眠気が一度あっただけで、睡眠障害と決まるわけではありません。

生活や安全に支障が出る眠気は、相談する目安です。眠気があるときは運転を避け、運転中なら安全な場所に停車してください。カフェインだけで無理に乗り切ろうとしないことが大切です。

③「週末の寝だめで帳消し」?回復とリズムを分ける
平日5時間、休日10時間。休日に長く眠ることで回復する面はあります。ただ、短い睡眠を繰り返して生じる影響が、週末だけですべて解消されるとは限りません。
平日と休日の睡眠時刻がずれる「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」にも目を向けましょう。休日の起床が大きく遅れると、夜の寝つきにも影響することがあります。

休日の回復も大切にしながら、平日の睡眠時間を少しずつ確保しましょう。起床時刻を大きくずらさず、朝に光を浴びることも工夫の一つです。毎週長い寝だめが必要なら、仕事や生活の時間配分を見直す手掛かりになります。
研究では何がわかっている?
健康な若年成人36人を3群に分けた短期間の実験では、眠ることのできる時間を1晩5時間に制限し、週末2日間は自由に眠ってから再び短い睡眠に戻す群も調べました。この群でも、再び睡眠を制限した際の、血糖を調節するインスリンの働きの低下などを防げませんでした。回復睡眠のすべての効果を否定する研究ではありません。

④「寝酒でぐっすり」?寝つきと一晩の眠りは別
お酒で寝つきが早くなることと、一晩よく眠れることは別です。飲酒後には夜の後半に目が覚めやすくなり、眠りが途切れることがあります。いびきや無呼吸を悪化させることもあります。
眠るための飲酒は勧められません。寝つきの悪さが続くなら、お酒を増やす代わりに、生活習慣や不眠症の治療について相談しましょう。睡眠薬と飲酒を組み合わせないでください。
⑤「いびきは熟睡の証拠」?夜の呼吸にも目を向ける
いびきは、睡眠中に狭くなった空気の通り道で組織が振動して生じる音です。音が出ていることから、深く眠れているかどうかはわかりません。
呼吸が止まるとの指摘や、毎晩の大きないびきがあれば相談してください。日中の強い眠気、疲れやすさも大切な情報です。すべての症状がそろうまで待つ必要はなく、眠気が目立たない睡眠時無呼吸もあります。

今日から確かめたいこと・相談の目安
- 就寝・起床時刻、休まった感覚、日中の眠気を記録する
- 平日の睡眠を削り続けず、休日との時刻のずれを小さくする
- 寝酒に頼っていないか、夜中の目覚めも振り返る
- 家族から聞いたいびきや呼吸の停止を、診察で伝える
例えば「23時半に床に入った/6時半に起きた/朝はすっきりしない/午後の会議で眠くなった」と、時刻と調子を簡単に残してみましょう。
強い眠気や呼吸の停止が気になるとき、眠る機会を確保しても不調が続くときは、かかりつけ医や睡眠を診療する医療機関へ相談してください。服用中の薬、睡眠の記録、家族から聞いた呼吸の様子が手掛かりになります。記録がなくても相談できます。運転中に眠り込みそうになる場合は、記録がそろうのを待たずに相談しましょう。
参考文献・出典
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上のアドバイスではありません。薬の服用中の運転については、必ず担当医師にご相談ください。


