睡眠ポリグラフ検査(PSG)とは:睡眠専門医療機関だから可能な精密検査

日本睡眠学会が認定している「睡眠専門医療機関」は全国で114院ありますが、令和3年の厚生労働省の医療施設調査によると、「一般診療所」は 104,292 施設あり、睡眠専門医療機関は全体の約0.11%ということになます。
睡眠に困る方々へ十分な医療が提供できていないことが容易に想像できます。

本コラムでは、睡眠障害の評価に欠かせない終夜ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)の検査当日の流れや診断に役立つ疾患についてお話していきます。睡眠専門医療機関ではどんなことをするのだろう?という疑問に少しでもお役に立ていれば幸いです。※今回は新横浜院での検査の流れをご案内します


0. PSG検査の前に

PSG検査を受ける前には、簡易検査などのスクリーニング検査を行い、睡眠障害の可能性を確認することが一般的です。
詳細については、下記のコラムの中段にある「睡眠時無呼吸症候群の診断方法」をぜひご参照ください。

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睡眠時無呼吸症候群について ”居眠り=悪”と考えてしまいますが、睡眠の病気が隠れていることがほとんど。睡眠関連疾患で最も頻繁に出くわす睡眠時無呼吸症候群(SAS)についてお話します。

1. 来院から入室まで

受付:午後6時頃曜日により時間が異なります)

来院受付と体温・血圧測定をしていただきます。

検査当日お持ちいただくもの
・保険証またはマイナンバーカード、診察券
・検査費用
・翌日の着替え(検査着はご用意しております)
・必要な方はお食事(お部屋でお召し上がりいただけます)
※入院当日が初めての来院という方は必要書類のご提出、問診票記載にご協力いただく場合がございます

医師による診察と検査の説明:午後6時15分頃

検査当日のご体調を確認し、検査実施の可否を判断します。

  • 入院前検査の確認
    入院前には睡眠障害以外のお体の状態を確認するため検査を行います。
    また、入院当日に検査結果の報告を行います。
    ・血液検査:肝機能・腎機能・生活習慣病・血液を介した感染の可能性のある疾患の評価
    ・心電図検査:入院検査より優先すべき心疾患がないか評価
  • 当日の検査へ影響する因子の確認
    体調や睡眠行動が検査の妥当性を左右することがあるため事前に様態を確認します。
    ・発熱の確認:担当スタッフへの感染リスクや、感染事態が睡眠への悪影響となるため改善後の検査も検討します。
    ・睡眠習慣の確認:前夜の睡眠時間、当日の昼寝の有無などを確認します。

入院室へのご案内:午後6時30分頃

受付で会計を済ませていただいた方から診察後に検査室へご案内します。

検査準備の開始時刻までは、お食事・シャワーなどを済ましていただき自由な時間をお過ごしいただきます。
快適にお過ごしいただけるように、病室ごとにシャワー室を完備しています。また、化粧台、ドライヤーのほかアメニティ(タオル、シャンプー、リンス、ボディーソープ、検査着)の準備がございます。

ベッド・マットレスは全国のホテルで実装経験のある国産メーカーの寝具を使用しております。
お部屋には、鏡台・ロッカー・シャワー室・ベッド・テレビなどがございます。

2. 検査の準備と過程

PSG機器の装着:午後21時頃

午後の外来が終了し、消灯時間が近づく頃に検査技師がお部屋へ伺い、必要機器の装着を行います。

PSG検査では、以下のようなセンサーを装着します。

  • 脳波計:睡眠時間、睡眠の深さなどを測定
  • 心電図:心拍の変動を記録
  • 呼吸センサー:鼻や口からの気流を測定し、無呼吸・低呼吸の有無を確認
  • 酸素センサー:指先に装着し、血中酸素濃度を測定
  • 筋電図:下顎や四肢の筋肉の緊張を確認

検査中のサポート 消灯後(午後10時以降)

安心できる検査環境

  • 検査中は、医療スタッフがモニタリングを行い、検査中の睡眠異常行動の評価を行います
  • 何か困ったことがあれば、ナースコールで対応が可能です
  • スタッフへお申し出いただければ、検査中でもご自身の足でお手洗いへ行っていただけますのでご安心ください

3.退院

検査終了:午前6時~8時頃

翌朝、必要な検査時間(通常8時間以上)を確認後に検査は終了となります。
スタッフがお部屋へ伺いセンサーを外しますので、お仕度が終わった方から退院となります。

4. 検査結果

検査結果の説明

検査後、データを解析し、後日結果をご説明いたします。
検査により睡眠障害が確認された場合は、適切な治療方針をご提案いたします。(検査結果用紙の確認方法については今後コラムにします)

5. PSG検査が診断に役立つ疾患について

6. 当院について

睡眠学会認定施設としての専門性

当院は睡眠障害の診断と治療を専門とする医療機関であり、日本睡眠学会認定の専門医が在籍しています。
また、新たに睡眠の専門医・専門認定技師の養成にも力を入れており、睡眠に関する新たな知見を定期的にアップデートしています。

設備と患者中心のケア

米国睡眠学会(American Academy of Sleep Medicine:AASM)推奨のPSG検査が実施可能な機器を導入しており、より正確な診断を実現しております。
また、寝具やアメニティなど患者さまの快適な睡眠を重視し、リラックスできる環境を提供することを目指しております。

睡眠障害に悩む方への受診のすすめ

「日中の眠気が強い」「いびきがひどい」「寝ている間の動きが気になる」などの症状がある方は、一度ご相談ください。
早期の診断と適切な治療が、質の高い睡眠と健康な生活につながります。

PSG検査は、睡眠障害の診断において非常に有効な手段です。適切な検査と治療により、睡眠の質を向上させ、日常生活の改善につなげましょう。